どうにも違和感を拭えず、カウンセリングをやめた4月末。
「この判断で本当に良かったのか?」あれからずっと考えていた。
体調だけはみるみるうちに回復していった。
逆に罪悪感を感じた。
臨床心理士さんのカウンセリングを受けた理由
書こうかずっと迷っていたけれど、この話を書くならどうしても、
なぜ私が臨床心理士さんのカウンセリングを受けることにしたのか
その理由を書かなければいけない。
私は5年前にコロナにより会社を辞めざるをえなくなった。
幸いにもその頃、生徒として通っていた自己啓発系のカウンセリングスクールの代表に講師としてスカウトしてもらい働けることになった。
そこは自己対話を通して悩みを解決したり自己実現をするためのスキルを学ぶスクールで、
生徒やクライアントは、講師(カウンセラー)との対話を通して悩みを解消させていく。
そこでの仕事が始まってすぐ「私はこの仕事を続けていいのだろうか」という不安を感じた。
カウンセリングについての思わぬ発見
そこのスクールは成績の良い人に上からお声がかかり講師になるシステムだったので
講師の教育制度がなかった。
「あなたは筋がいいからそのままクライアントさんと話してくれていいよ」と突然現場に出ることになった。
信頼していただけありがたい反面、自分で使うスキルと人に指導するスキルは違うと思うのだが大丈夫だろうか、と不安になった。
ありがたいことに先輩がご好意で指導してくださったけれど、基本的にスキルの向上は自分で研究して成長しないといけなかった。私は元々独学向きだったので、悩みができる仕組みや感情について夢中で勉強した。
そうしていくうちに幸か不幸か、私は重大なことに気がついた。
それが私の適応障害解決の大きな鍵となる。
過去を整理しないと前へ進めない
クライアントさんの話を聞いていくにつれ、
相手がどんなに未来の展望について話すことを望んでいても、今の現実がうまくいかない理由を探るとその方の『過去』に行き着いてしまうと気がついた。
例えば恋愛や起業をしたいのに、不安や怖さがあって前へ進めない時。
なぜ不安なのか?と深掘りしていくと、
だいたい、過去の辛かった体験にたどり着く。
すると一旦、願望実現は横に置いて、過去と向き合わなければならない。
所属していた会社の方針として、精神疾患を患っている方は専門のカウンセリングを受けていただくようにご案内していたが、私たちが自己実現のための対話を図る中でメンタルブロックとして出てきた過去の出来事に焦点を当てて話すことはよくあった。
私の経験では、心の準備ができた時にきちんと言語化しながら過去と向き合えば
トラウマをどう抱えて未来の生き方に生かすか、落とし所が見つかる日は来る。
ありがたいことにクライアントさんたちは、私と対話したあとは悩みが消えて現実も変わる、とリピートしてくださったけれど、だんだんと相談の内容が未来の展望よりも過去のトラウマなどの話になっていってしまうことが増えた。
私の中で「人の心とはデリケートなはずなのに、私がこの仕事を続けていいのだろうか?」という疑問がでてきた。
クライアントさんとの間で投影が起き始めた
いろいろなクライアントさんと対話をさせていただく中で、だんだんと私自身がモヤモヤと感じてしまう方と出会う機会が増えた。
クライアントさんたちにモヤモヤしてしまう自分の感情を辿っていくと、毎回自分の中の課題に突き当たる。
その時、一気に怖くなった。
私は、クライアントさんの話を聞き続けていいのだろうか?
このままだとクライアントさんのお金で自分の課題を解消させてもらうことになってしまうんじゃないだろうか?
「クライアントさんからエネルギーを奪ってしまうようなことがあってはいけない」と思った私は、
自分の課題の解消をするためのカウンセリングを受けながら、クライアントさんの力になれないと判断した際は他の方と対話していただくようお願いする等して対応していた。
(実際に専門的なカウンセリングを行なっている方達は、自分の気持ちが揺れるクライアントさんに出会ったら、ご自身がカウンセリングを受けて整えるよう教育を受けるらしい。)
当時の私は、自分自身がまだ親子関係のわだかまりを解決できておらず、他者のなかに親と似た要素を見た時に嫌悪感を持ってしまう、
そういった自分の感情の発生源に気がついた。
親子関係が清算できていない私は、クライアントさんに親を投影してしまう可能性が高い。
そう判断したため、代表にお願いして早々に対話をする現場から外してもらった。
クライアントに自分の課題を投影してしまうカウンセラー達
現場から外してもらった後も、次々と自分の過去や親を彷彿とさせる人や出来事に遭遇した。
その度に、スクール専属のカウンセラーさん数名にクライアントとして何度も相談させてもらいにいった。
お話しして自分の心の中が整理されるたびに、悩みが減り、今までモヤモヤしていた人に
何も感じなくなった。
ただ、私の中のいちばんのトラウマだけは、相談をしたら逆に悪化した。
その頃、私をスカウトしてくれた会社の代表(カウンセラー)が、
だんだんと「カウンセラー」という立場でのアドバイスと、彼女自身の個人的な私たちスタッフへの要望を混同させた発言が増えた。
だんだんと圧力がエスカレートした代表との関係悪化で、私は適応障害になり仕事を辞めた。
私はそれまでにも別の先輩カウンセラーに、彼女自身の問題を私に投影されて仕事の妨害をされた場面が何度もあった。彼女達は、私が懸念していた「自分の課題を、相談に来たクライアントの存在で解消させてもらう」ことをやってしまっていたのだ。
私は自分が懸念していた理由で、被害者になったのだった。
今度は資格のあるカウンセラーさんに相談しよう
元々あったトラウマの傷がパックリと開いたまま、さらに不運が続き適応障害を患った私。
いくら自己啓発系のカウンセリングだからと言って、
クライアントに自分の課題を投影させて適切ではない対応をしているとことに気がつけない相談員たちに正直絶望したけれど、専門的な心理の資格を持っているわけではないから気がつけなくても仕方がないのかもしれないとも思った。
同時に「相談に来てくれたクライアントに自分の課題を投影して相手を壊してしまうんじゃないか?」という自分の危機感と、親子関係が清算できておらず投影材料をたくさん抱えている自分は早々に身を引いた方がいいという自分の判断は正しかったとも思った。
自己啓発スクールの中で、いろんな人に課題を投影されてボロボロになった私は
「今度はきちんと資格を持った方に相談しよう」と思い、臨床心理士の先生のカウンセリングを受けることにした。
「有資格者の先生なら今度こそ大丈夫だ」と期待をしていた。
この時はまさかプロの専門家が、自己啓発スクールのカウンセラー達と同じ課題に陥るとは想像もしていなかった。