「誰かと生きていく」

ここ数日、恋愛の膿がでてきている。

私は彼との間にある、縮まらない距離がすごく寂しかった。

でも、思い返して見えると、それは私が今まで付き合った人たちにやってきたことだったんだと思う。

私はずっと、自分の結果と夢が大事だった。

演奏の大会に出ていた頃は、自分が集中して練習した分だけが返ってくるから、とにかく邪魔しないで欲しかった。

留学するのだって、当時の彼氏がどうとか考えたこともなかった。
「私が私の夢を追いかけているのに、なんで引き止めるの?」って思ってた。
彼氏との未来を並行して考えようなんてほとんど思っていなかった。

私がどんどんステージを変えていくのを、付き合っていた人たちは「変わらないで」と言って泣いて引き留めた。

邪魔だと思った。

でもみんな、ハナからその人たちとの未来を考えていなかった
私の態度にきっと彼らも溝を感じていたんだろうな。

なんでだろう。

今までの私は、それが別に悪いことだとも思っていなくて疑いもなくて、
だって、恋愛にうつつを抜かしてやるべきことをやらないのは違うと思っていたから。

別に相手が嫌いだったわけじゃないけど、
自分の夢を叶えた先でそれでも繋がっていたらその時考えればいいやくらいに思ってたのかも。

そもそも私は自分の夢に夢中で、相手との未来なんて考えていなかったのかも。

うーんでも、それはまだ結構若い頃だったからどうかな。
でも周りの子達は学生でも相手との未来を考えてたよね。

就職した後のお付き合いは、一応その延長線上に結婚も考えていたけれど
結婚すると言いながら私よりも稼ぎがなくて、実家で全て親に身の回りのお世話をしてもらっていた元彼は、
だんだんと私を「怖いお母さん」扱いするようになったから

「私なんでこの人にごはんつくってるんだろう」と疑問が湧いちゃったことがあったんだよな。

なんだか私は人よりも30年以上スタートを遅くきった人みたいな気がするけれど
きっと私が「誰かと生きていく」という台に立つにはこれだけの時間が必要だったのだろう。

私が「自分の力で未来を切り開く」と心に決めていた若い頃は、
親や環境から受けた価値観もあった。

自分で自分の世界を作っていかないと、やっていけなかったから。
人との関わりを犠牲にした分、結果だけはついてきた。

結果を出すほど、人との距離はできた。

「今まで手に入れた全ての結果」を失ったこの5年。

代わりに周りの人たちの気持ちがわかるようになった。
同じことを体験した。

もっと早く知りたかった、と思うけれど
私が生まれてきた環境や性格などいろんなことが合わさって、

誰かと生きていくための土台を作るのに35年もかかってしまっただけなんだ。

失ってしまったものばかりに目がいくけれど
ここから作っていかないといけない。

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