彼女の毎日の仕事は、母親の怒りから幼い妹を守ること。
「今日もお母さんがおどかしてきたら、どっちが長く静かにしていられるか、競争しよう」
毎日いっしょうけんめい考えて、妹と遊べるゲームに変えた。
妹を守ることと同じくらい
お母さんを傷つけないことも、彼女にとっては大切だった。
彼女には、お母さんが怒りながら心の中で泣いていることが見えていた。
「女の人は、弱いから守ってあげなくちゃ」
彼女の周りには、たくさんの人が集まった。
彼女は人気者だった。
頼ってもらえて、力になれるのが嬉しかった。
妹を怖がらせないように、
母を傷つけないようにと、
考え抜いた手段が、「相手を楽しませること」「笑顔を引き出すこと」だった。
その一方で、優しい彼女には次々と困った出来事が降りかかる。ひどい時には、騙されたり、お金を取られたり、怪我をしたり、病気になったり。
“優しくて頼れるみんなの人気者”の彼女には
本人も気がついていない小さな心の声があった。
彼女が、
自分の心の中の小さな声に気がついて
他の誰でもなく自分自身を助けられるようになるには、まだもうしばらく時間が必要だった。
「みんなのヒーロー」を演じ続ける彼女は、
自分の人生を縛っている心の鎖の存在に
まだ気がついていない。