彼女は、自分に関するあらゆるものが嫌い。
自分の名前、顔、子供の頃遊んでいたお人形、自分の選んだ服
なんでこんなに可愛くないんだろう
なんでこんなにセンスが悪いんだろう
どんなに自分の心と向き合っても
それだけはなかなか消えなかった。
周りからは「ただわがままを言っているだけ」と言われる。「そんなことないよ」とフォローしてくれる人もいる。
そうか。本当はそんなことないのに、
私が無い物ねだりしてわがまま言ってるだけなんだ。
と、頭では理解する。
なのに気持ちが一致しない。
口に出すと批判が飛んでくるだけだから、
いつしか彼女はそれを口に出さなくなった。
でも心の中のもやもやが消えたわけじゃない。
そのときの彼女は、
自分がそんなにぶさいくじゃないことや、
自分の持っていたものや自分の作ったものがそんなに悪くないことを、
認めてはいけなかった。
自分の認識の歪みや事実を受け入れることを、心が拒否していた。
『だって、それを認めちゃったら、
私があんなに嫌がってたのに、誰も聞いてくれなかったあの苦しさが、なかったことになっちゃうじゃない!』
これが彼女の、心の1番奥にある叫びだった。
自分の見た目をそのまま受け入れ肯定することよりも、
過去の幼かった自分の声が、誰にも届かなかった寂しさを
自分だけは大事に持っていてあげることの方が
今の彼女にとって大切なことだった。