母を守るヒーローを演じ続けた少女の話

彼女の毎日の仕事は、母親の怒りから幼い妹を守ること。


「今日もお母さんがおどかしてきたら、どっちが長く静かにしていられるか、競争しよう」

どんな工夫をしたら、お母さんが怒っている時間を乗り切れるか
彼女は毎日一生懸命考えて、妹と遊べるゲームに変えた。


妹を守ることと同じくらい
お母さんを傷つけないことも、彼女にとっては大切だった。


彼女には、お母さんが怒りながら心の中で泣いていることが見えていた。
「女の人は、大人でも弱いんだ。」
「私が守ってあげなくちゃ」


彼女の周りには、たくさんの人が集まった。
彼女は人気者だった。
頼ってもらえて、力になれるのが純粋に嬉しかった。

幼い彼女が

妹を怖がらせないように、
母を傷つけないようにと、

考え抜いた結果たどり着いた手段が、「相手を楽しませること」「笑顔を引き出すこと」だった。

その一方で、優しい彼女には次々と困った出来事が降りかかる。

人から騙される
お金を取られる
事故に遭う
病気になる

何度も繰り返した。
大人になるにつれ、困りごとの規模がどんどん大きくなった。

繰り返し起こる鬱症状や婦人科系の病気も悩みの一つだった。

“優しくて頼れるみんなの人気者”の彼女には

本人も気がついていない小さな心の声があった。

彼女の心は
ずっと助けを求めて叫んでいた。
しかし目の前で起こってゆく出来事に追われる彼女には
自分自身の声が聞こえない。

彼女が、
自分の心の中の小さな声に気がついて

他の誰でもなく自分自身を助けられるようになるには、

まだもうしばらく時間が必要だった。

みんなのために「ヒーロー」を演じ続ける彼女は、

自分の人生を縛っている心の鎖の存在にまだ気がついていない。

melle
運営者

 
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